ジェロントロジーに関する耳寄りな情報 第32回(ジェロ・マガ Vol.32 [2022年6月8日より一部抜粋)

このコーナーでは、ジェロントロジーに関連する、日々の生活や今後の生き方に役に立つ、あるいは「耳寄りな」情報をお届けいたします。

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先日、私の父のもとに、居住している川崎市より、「高齢者特別乗車証明書等の更新及びICカード化について」という文書が届きました。いわゆる「高齢者乗車パスのICカード化」です。
「えっ、ICカードにまだなってないの!?」と思わず反応してしまいましたが、川崎市の報告書を見ると、政令指定都市及び東京都におけるICT導入状況は川崎市、東京都、横浜市、京都市は未導入という実態でした。
高齢者特別乗車証明書等の更新及びICカード化について

昨今、高齢者乗車パスについては、利用者(対象者)の増加で事業費が膨らみ、見直しの議論をよく耳にします。
さらに、いわゆる「フリーパス式」は紙のため、利用実態を正確に把握できず、自治体から事業者への補助金の算定に使用している平均利用回数と
事業者による調査に基づく利用回数の実態は乖離しています。

特に、高齢者の外出機会・手段の確保における、公共交通機関の果たす役割はとても大きいものです。
ただし、その外出手段を確保のための施策が、事業者にとっては負担増となり、コストの観点から路線の減便・廃止という結果の一因になってしまっている
逆説的な状況になっていることも無視できない状況です。

ICT化による実態把握を早急に行い、利用者・事業者・自治体の負担の配分についての議論もしっかりと行うべきだと思います。
同時に、「地域の足の確保」については、日本全国避けて通れない課題です。
2020年11月末からは、地域ごとに路線を定める乗り合いバスでは、一定の条件のもとで独占禁止法の適用を除外する特例法が施行され、それと並行して、地域公共交通活性化再生法が改正されました。

自家用車による有償運送の強化や、物と人の混載輸送の手続きの円滑化が進むと見込まれていますが、この法律では自治体と事業者、住民らでつくる協議会で地域公共交通計画を策定することが求められています。
単純な採算・不採算の議論を超えた、地域にとって持続可能な交通計画が考え出されるか注目したいと思います。