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ジェロントロジーに関する耳寄りな情報 第93回(ジェロ・マガ Vol.93[2024年11月12日]より一部抜粋)

このコーナーでは、ジェロントロジーに関連する、日々の生活や今後の生き方に役に立つ、あるいは「耳寄りな」情報をお届けいたします。

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以前、ジェロ・マガVol.82にて、「日頃の口腔ケアの大切さと災害時の口腔ケア」をお届けし、口腔ケアがわたしたちの身体全体の健康と密接に関連していること、また、災害時の口腔ケアが非常に大切なことをお伝えしました。

今回は、口腔ケアのなかでも、口腔咽頭機能のトレーニングについて、紹介したいと思います。

みなさんは「構音トレーニング」という言葉をご存知でしょうか。「構音」は一般的には「発音」と呼ばれており、肺から空気を出し、声帯を震わせ、最後に舌の形を変えたり、口を動かすことで、発音が作られます(*1)。この発音を作る声帯から唇までの部分を構音器官といいます。

*1 日本歯科医師会 テーマパーク8020 言語機能と構音障害

「カラオケでのどの老化防止」、「早口言葉で口腔トレーニング」などは皆さんも聞いたことがあるのではないでしょうか。それらも構音トレーニングの一つで、実践している方もおられるかもしれません。さらに、「無意味音音節連鎖訓練」という意味のない音の羅列で行う構音トレーニングもあります。これは、意味のない音の羅列、つまり「日常語ではない言葉」であることがポイントで、代表的なものとしては「パ」「タ」「カ」「ラ」と発声する「パタカラ体操」が行われています。先週、この「無意味音音節連鎖訓練」の一つとして研究が進められている「読経の口腔・咽喉頭機能に及ぼす影響の研究」のイベントに参加してきたので、感想をお伝えしたいと思います。

イベントのタイトルは「読経で健康!~体に功徳を届けるとりくみ~」です。実際に、秋田市のお寺で開催されました。プログラムとしては、研究者による講演があり、お寺の住職による法話、
準備体操、そして般若心経を2回唱える、というものでした。

般若心経は意味のない音の羅列ではなく、真逆の「ありがたい意味のある言葉」です。しかし、「日常ではない言葉」でもあります。研究はそこに着目し、読経により、「口の機能の向上」や「誤嚥性肺炎の予防」などの効果検証を行っています。この研究については、下記のサイト(*2)で詳しく紹介されていますので、
是非、ご一読ください。

*2 モダンタイムズ 岡村 毅 大きな声で朗々と、普段は使わない言葉を読み上げる。長い高齢期を有意義に生き抜くヒント

お経を唱える前に、しっかりと上半身のエクササイズと口腔のエクササイズを行ったこともあり、姿勢を正し、大きな声で般若心経を2回唱えると、11月にも関わらず体がぽかぽかし、うっすら汗を書くほどでした。まだこの1回しか唱えていないため、口やのどにすぐに効果は出ないと思いますが、久しぶりに大声を出すことでストレスが発散され、秋空を眺めながらすっきりした気分で家路につきました。