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ジェロントロジーに関する耳寄りな情報 第108回(ジェロ・マガ Vol.108[2025年6月24日]より一部抜粋)

このコーナーでは、ジェロントロジーに関連する、日々の生活や今後の生き方に役に立つ、あるいは「耳寄りな」情報をお届けいたします。

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前回は、生活習慣という観点で朝食と健康をテーマにお伝えいたしました。そこで今回は運動習慣に関して、話題提供させていただければと思います。

厚生労働省『健康づくりのための身体活動・運動ガイド2023』*1によると、身体活動・運動の量が多い人は少ない人に比べて、循環器病や2型糖尿病、不安の症状が軽減されることに加え、思考力や総合的な幸福感も高められるとして、身体活動・運動が健康寿命の延伸に有意義であると示されています。

一方で、笹川スポーツ財団による、全国18歳以上の男女を対象とした調査*2では、健康に対して時間をかけるべきという意識は高いが、実際の運動実施の習慣化には至っておらず、「健康のために運動したくても運動できない」、という一種のジレンマを抱えている層も、性別や年齢に関わらず見られています。

では、なぜ運動を実施することができないか。上記調査によると運動阻害要因として、「無精である」(74.7%)に次いで、「運動によって疲れてしまう」(74.5%)が多く回答されていました。併せて、大学生を対象に実施された、「運動嫌いと運動不振の関係」という調査*3では、運動不振は運動嫌いと関連性があることが明らかになっています。そして、「運動が苦手である」と「運動が嫌い」になり、「運動が嫌い」になると運動をしなくなる、そのため体力は向上せず、運動は苦手のままになってしまう、といった悪循環があると指摘されています。

そんな悪循環からの脱却として、運動の習慣化に向けた、行動経済学を参考とした手軽な運動の始め方をご紹介します。

1つは即時報酬とナッジを活用した、行動直後の小さなご褒美の設定です。また、目標に対して自分ルールを設定し、目標が達成されなかったらペナルティを設けることや、その内容を家族や友人に宣言するのも効果的です。そして、小さな成功体験を積み重ねるため、1日1回のスクワットといったような、簡単で即日実行できる目標を設定します。ポイントは、やりたくなったら目標以上の内容を実施してもよい、という点です。運動をする習慣がない方や、運動を始めることに対して不安のある方などは、ほんの少しの運動を生活の中に取り入れてみてはいかがでしょうか。

さらに体力の増進や運動機能の向上を目指す方には、1つの手法として、道具を使わず、短時間でできる「タバタトレーニング」*4をご紹介します。タバタトレーニングは、有酸素運動と無酸素運動を同時に行えて、両方の効果が得ることができます。具体的には、「20秒運動」と「10秒休息」を1セットとして、8セット繰り返し行います。合計4分、このセットを週に2回行うことで、体力向上等の効果が効率的に得られるとのことです。このトレーニングはご自分の体力に合った運動強度で行うことが重要です。20秒の運動では最大酸素摂取量170%の強度、休息を入れずに続けた場合50秒程度で疲労困憊に至る強度で実施することとされていますが、健康増進を目的とする場合は、若干強度を落とし、回数を減らして取り組むことも推奨されています。

トレーニングのうちの一つ、スクワット&ジャンプのやり方をご紹介します。

①膝を曲げて腰を落とし、指先を床に軽くつける。
(しゃがんだ時に、膝がつま先より前に出ないように)

②両手を上げながら、全力でジャンプする。
着地したら、再び腰を落とした状態に戻る。

上記の①→②をリズム良く繰り返します。運動前のウォーミングアップや、運動後のクーリングダウンも併せて実施してください。詳しい内容や、方法についてはぜひ参考文献*4をご覧いただければと思います。

運動の習慣をつけるためにも体力が必要、ということで、まずはすぐに達成できる目標からはじめて、運動が楽しい、と思えるまでぜひ続けていただければと思います。

<参考文献>
*1厚生労働省 HP 身体活動・運動の推進 健康づくりのための身体活動・運動ガイド2023
*2笹川スポーツ財団 HP 『なぜ運動したくてもできないのか?やる気があってもできない30代とやる気が起こりにくい50代 健康関心度とスポーツライフに関する調査Ⅱ』
*3古田 久「運動嫌いと運動不振の関係」『日本教科教育学会誌』第40巻第4号 pp.63-69
*4田畑泉(2022)『1日4分 世界標準の科学的トレーニング 今日から始める「タバタトレーニング」』講談社