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ジェロントロジーに関する耳寄りな情報 第135回(ジェロ・マガ Vol.135[2026年8月4日]より一部抜粋)

このコーナーでは、ジェロントロジーに関連する、日々の生活や今後の生き方に役に立つ、あるいは「耳寄りな」情報をお届けいたします。

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7月28日、熊本県熊本地方で発生した地震でお亡くなりになった方々に、衷心よりお悔やみ申し上げます。
令和6年の能登半島地震に続き、震度7を記録する極めて大規模な地震災害となりました。4月には、平成28年に発生した熊本地震の10年犠牲者合同追悼式が行われたばかりであり、また、熊本城の石垣等の復旧工事も道半ばという中での今回の地震に、本当に心が痛みます。

一連の報道を追う中で目にしたのが、避難所ではなく、車で避難生活を送っておられる方々の状況でした。そこで、「ジェロントロジー総合講座」修了者向けメールマガジン(ジェロ・マガ)Vol.135では、「車中泊避難」について紹介していきたいと思います。

●熊本市で策定された全国初「車中泊避難」ガイドライン

平成28年熊本地震では、熊本市民の約40%の方が車中泊避難を経験されたそうです。また、国が令和6年6月に防災基本計画を修正し、「在宅・車中泊避難者等の支援の手引き」*1を策定しました。これらを踏まえ、災害時に車中泊避難を行う方を支援するために、熊本市では「熊本市車中泊避難者支援ガイドライン」及び「熊本市車中泊避難マニュアル」を策定し、今年4月に公開*2しました。
*1 在宅避難者・車中泊避難者等の支援の手引き(内閣府防災情報のページ)
*2 車中泊避難を支援するためのガイドライン及びマニュアルを策定しました(熊本市)

なお「車中泊避難」という言葉について、上記の国の手引きでは「避難所での避難生活が必要な方がやむを得ず車で避難生活を送ること」と定義しており、緊急時に避難行動として車で避難することとは異なるものとして整理されています。この点は、本稿でも同様とします。

●「車中泊避難」についての基本的考え方

国及び自治体では、基本的に車中泊避難について「望ましいものではない」「長期の生活を送る場所として適切ではない」という考え方を取っています。その理由としては、以下のものが挙げられます。

<健康面での支障>
・狭い座席で同じ体制を続けたまま、長時間過ごすことによりエコノミークラス症候群のおそれがある
・長時間のアイドリング状態により、一酸化炭素中毒のおそれがある
・熱中症や低体温症のおそれがある

<支援提供への支障>
・避難者が点在することで、自治体における状況把握が困難になり支援物資や情報提供が遅れるおそれがある
・本来、車中泊避難者が駐車することが想定されていない場所に車中泊避難者が滞留することで、救助活動や物資の輸送が妨げられるおそれがある

これらは「災害関連死」にもつながりかねないリスクであるため、国や自治体が車中泊避難について、基本的には推奨しないというスタンスは、理解できるものです。

●地域や個別の事情に応じた車中泊避難の想定

他方、平成28年熊本地震で車中泊避難を選ばれた方々は、その理由として、後に熊本県が実施した「平成28年熊本地震に関する県民アンケート調査」*3にて、余震が続いたこと、プライバシー確保、家族やペットの事情、そして避難所が満員で入れなかったといったことを挙げておられました。
*3 平成28年熊本地震に関する県民アンケート調査(熊本県知事公室 危機管理防災課、平成29年3月13日)

この国の防災上の課題である、避難所の環境の不十分さはまだまだ解消されていません。熊本県では、避難所に指定されている公立小中学校の
冷房設備の設置率が、全国平均を下回っているという報道もあり、避難されている方々の熱中症リスクも懸念されています。そこで7月29日には文部科学省が、普通教室その他空調設備が設置された学校施設の活用により、被災した方々を受け入れる検討を依頼する旨の通知を発出*4しました。
*4 令和8年熊本地震における避難所としての普通教室等の活用について (通知)
(文部科学省、令和8年7月29日)

すべての避難所で心身の安全性が確保され、1人ひとりが少しでも安心して過ごせる環境であることが望ましいのはもちろんですが、被害の状況やその地域の実情、また被災された方々の個別の状況を踏まえると、やむを得ず、車中泊避難を選択される方は、おそらく今後も一定程度発生することが想定されます。そこで前述の国の手引きでは、「地域の実情に応じ、自治体ごとに車中泊避難者の支援方策について、平時から検討・準備することが必要」と示されました。熊本市のガイドラインやマニュアルは、これを踏まえたものであり避難者を対象としたマニュアルには「事前準備編」と「発災時避難編」が整備され、住民においても平時から検討・準備することができるようになりました。

●「熊本市車中泊避難マニュアル 事前準備編」から学ぶ

熊本市車中泊避難マニュアルの事前準備編は、「車中泊避難の心得」「事前準備(詳細)」「事例(写真等)」の3部で、簡潔に構成されています。車中泊避難者同士での基本ルールやエコノミークラス症候群等を防ぐための体調管理の必要性、また車内の設備・備品等の情報が記載されています。最後にこの中から、私たちもすぐにできる事前準備について一部ご紹介させていただきます。

◎車内がフルフラットになるか確認する
エコノミークラス症候群の予防には、足を伸ばせる空間づくりが非常に大切です。そのため、例えば「5人乗りの乗用車」であってもそこで大人5人が過ごせる訳ではありません。このことも踏まえて、車中泊避難を検討する必要があるように思います。

◎薬とお薬手帳をすぐに持ち出せるようにしておく
アプリで管理する方も増えたかと思いますが、非常時・緊急時には、紙での確認が容易なこともあります。

◎サンシェードや車中泊用のマットなど、滞在時の快適性を保持するグッズを準備する

◎備蓄用の飲食物や衛生用品を備える

◎ポータブル電源やモバイルバッテリーを準備する
発火リスクがあるため、車内への残置は避けましょう!

◎指定の車中泊避難場所を確認しておく
熊本市以外の一部自治体でも指定されているようです。お住まいの自治体のWEBサイトをご確認ください。
あわせて、近隣のガソリンスタンドの場所を改めて把握しておくことも重要です。

MIKI Yoshihito