ジェロントロジーに関する耳寄りな情報 第20回(ジェロ・マガ Vol.20 [2021年12月8日]より一部抜粋)

このコーナーでは、ジェロントロジーに関連する、日々の生活や今後の生き方に役に立つ、あるいは「耳寄りな」情報をお届けいたします。

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来たる12月18日は国際移住者デー(Internatinal Migrants Day)です。
「すべての移住労働者とその家族の権利保護に関する国際条約」(日本は未批准)が採択されたことを記念して国連総会で制定された国際デーです。

日本の少子高齢化について話をするとき、一般的に「日本人」を念頭に置いた話が多くなりがちです。
今回のジェロ・マガでは、移住者の視点から、高齢化について考えてみたいと思います。

2021年6月末現在、日本には282万3,565人の在留外国人(中長期在留者・特別永住者)が暮らしています。
(参考:令和3年6月末現在における在留外国人数について

ここ数年、メディアでも在留外国人の高齢化について取り上げられるようになってきましたが、2021年10月21日の東京新聞の報道によると、出入国在留管理庁のまとめでは、65歳以上の在留外国人は、1990年の7万人から2020年には18万8000人に増加しています。
(参考:東京新聞記事

上記報道でも言及されていますが、2020年、愛知県は全国で初めて、外国人高齢者の介護に関する実態調査を実施しました。
アンケート調査からは、2018~19年度の2年間で、外国人高齢者や家族らから相談を受けたことのある地域包括支援センター(愛知県内)の割合は45%に上ったことが明らかになりました。
事業者・支援者へのヒアリングからは、多文化対応は、子ども支援や障害者支援に通じるものがあり、外国人支援を整えることが全体の底上げになるヒントとなっている、という意見も出ており、これは多文化共生に向けての重要な視点だと感じました。
(参考:外国人高齢者に関する実態調査報告書(愛知県外国人高齢者支援事業) 概要

具体的な取組を一つご紹介すると、愛知県犬山市では、2020年度に市の介護予防事業として、休耕田を活用した野菜の収穫を通じて、外国人高齢者と交流する事業を実施しています。
こちらの事業は、定住化が進む外国人高齢者に対する将来の支援を想定して、農業を通じて日頃から顔の見える関係性を構築し、言葉や心の壁を取り除くことを目指しているとのことです。
(参考:毎日新聞記事愛知県外国人高齢者支援事業 外国人高齢者に関する実態調査報告書

愛知県の調査で明らかになった外国人高齢者の現状や先行事例は、今後、他の地域にとって参考になるものと思われます。

先月18日には、出入国管理庁は労働人口減少に対応するため、「特定技能」について制度の見直し(業種の追加)の検討を進めていると報じられました。
「人材確保」のその先をどのように見据えているのでしょうか。
移住と高齢化をめぐる今後の動きに注目したいと思います。