ジェロントロジーに関する耳寄りな情報 第22回(ジェロ・マガ Vol.22 [2022年1月12日]より一部抜粋)

このコーナーでは、ジェロントロジーに関連する、日々の生活や今後の生き方に役に立つ、あるいは「耳寄りな」情報をお届けいたします。

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本日は、Vol.13に引き続き、「政府統計」について、お話ししたいと思います。

人々の生活実態(活動やそれに要する時間など)を調査する統計調査に「社会生活基本調査」というものがあります。

総務省統計局が所管しており、5年に1回調査が行われます。
最新の調査は昨年(令和3(2021)年)10月に行われました。

○総務省統計局「令和3年社会生活基本調査」

最新調査の結果が分かるのは当分先になりますので、本メルマガでは直近の調査結果(平成28(2016)年)等を基に高齢者(65歳以上)の行動変容を確認することにします。

バブル経済が崩壊した直後の1991年と直近調査の2016年を比較すると、

買い物(+13.2%)
通勤・通学以外の移動(+10.1%)
スポーツ(+8.2%)

等に時間を費やす人が増加しているようです。

一方、その反対に、

休養・くつろぎ(▲7.0%)
仕事(▲5.0%)
受診・診療(▲3.8%)

等に時間を費やす人は減少しているようです。

グラフ

次に各行動に費やす時間の変化をみてみましょう。
行動者平均時間(該当する種類の行動をした人のみについての平均)についてみてみると、

身の回りの用事(+20分)
テレビ・ラジオ・新聞・雑誌(+17分)
通勤・通学以外の移動(+8分)

等に要する時間が増加しているようです。

一方、その反対に、

介護・看護(▲68分)
受診・療養(▲65分)
育児(▲50分)

等に要する時間が減少しているようです。

グラフ

このような行動変容の背景には、産業構造や社会構造の変化があると考えられます。
詳細な分析は別途行う必要がありますが、例えば「通勤・通学以外の移動」に着目すると、行動者率も行動者平均時間も増加しています。
これはこの20年間で郊外に住む高齢者が増加していることを示唆しているのかもしれません。
他方、「受診・診療」については、行動者率も行動者平均時間も減少しています。
一般に郊外の方が医療体制は充実していないため、この変化も郊外で暮らす高齢者の増加を示唆している可能性があります。

いずれも実証的な分析を経なければ確たることは言えませんが、何らかの「気付き」であれば調査結果の整理から得られます。
政府統計のデータは下記サイトから入手できますので、皆さんも興味のある分野で分析してみてはいかがでしょうか。

○e-stat 政府統計の総合窓口