ジェロントロジーに関する耳寄りな情報 第27回(ジェロ・マガ Vol.27 [2022年3月23日]より一部抜粋)

このコーナーでは、ジェロントロジーに関連する、日々の生活や今後の生き方に役に立つ、あるいは「耳寄りな」情報をお届けいたします。

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Vol.11では、今年度弊所が厚生労働省から補助を受け地域共生社会に向けた地域コミュニティづくりの拠点に関する調査研究事業を実施していることをお伝えいたしました。
現在、とりまとめの真っ最中であるため、結果はまた機会を改めてご報告できればと思うのですが、今回は「耳寄りな情報」として、調査にて収集した活動事例を1つ、ご紹介させていただきます。
みなさまが地域と関わりを持ち、100年人生を謳歌いただく上で1つのヒントになれば幸いです。

BABAlab さいたま工房
活動拠点:埼玉県さいたま市南区
活動テーマ:「長生きするのも悪くない」と思える仕組みを作る

BABAlabは、桑原静さんという方が代表を務める、シニアの特技を活かした役割づくりと安心できる居場所づくり等に取り組まれている団体です。

桑原さんは大学卒業後、web関係の仕事に従事しインターネット上のコミュニティづくりに携わる中、リアルなコミュニティに関心を持つように。
毎日時間を持て余すご自身のおばあちゃんの様子を見て「歳をとった人を、社会はどう受け止めるんだろう」ということを社会課題に感じ、仕事と子育ての多忙な日々の中、BABAlabの活動を構想されたそう。

立上げ当初はなかなかメンバーが集まらない中、とにかくwebサイトや手作り新聞の配布など情報発信に注力。
ご近所さんと顔の見えるコミュニティを作るうち、地域の新聞にも取り上げられ、地域に根付いた工房として、着実にメンバーを増やしていきました。

活動内容は、おばあちゃんの特技である縫製を活かした、「じじばば」世代が孫を育てやすくするための商品開発。
ネット通販やデパートでも取り扱われ、「本気のものづくり」を体現した孫育てに適した哺乳瓶(芝浦工業大学との連携)はキッズデザイン賞2016も受賞されました。

今では子連れのママから90代のおばあちゃんまで、多世代が交流するものづくりの拠点になっています。
また、ものづくりをテーマにしたワークショップやイベントも定期的に開催されています。

BABAlabでは工房運営のみならず、シニアのリアルな声を集める場として、毎年100名の参加者を集める「ホンネ会議」を開催。
また、「シニア男性の活躍」や「地域の助け合いサービス」など、毎月テーマを掲げた「月1学習会」を実施。
「はたらく」「学ぶ」「つながる」「あそぶ」といった様々な取組を、リアル、オンラインの両方を駆使されながら展開されています。

WEBサイトも充実していますので、ぜひ一度ご覧になってはいかがでしょうか。
BABA lab シニアのホンネを「仕組み」にかえる

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「長生きするのも悪くない」というのはとても「リアル」な言葉だという印象を受けていました。
ジェロントロジー推進機構の活動に携わる中で、キラキラと輝くシニアの方々とたくさんお会いしました。
同時に、自分はこんな風になれるのだろうか…、とも思ってしまっていました。

「長生きするのも悪くない」というのは、私の中にとてもすんなり入ってくる言葉でした。
「一億総活躍」が叫ばれる今日この頃ですが、「活躍」という言葉の意味を改めて考えたいと思いました。

代表の桑原さんは、いわゆる「団塊ジュニア」世代。
活動を通じて、ご自身も含め「長生きしたい」と思える取組をしていきたいと考えておられるそうです。
私も機構の活動を通じて、「長生きするのも悪くない」と思える方が少しでも増えるといいなと思うところです。