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ジェロントロジーに関する耳寄りな情報 第57回(ジェロ・マガ Vol.57[2023年6月6日]より一部抜粋)

このコーナーでは、ジェロントロジーに関連する、日々の生活や今後の生き方に役に立つ、あるいは「耳寄りな」情報をお届けいたします。

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今回は高齢化社会と防災について、考えてみようと思います。

まず、平成7年1月17日に発生した阪神淡路大震災では、県内死者の約半数が65歳以上の高齢者であったため、国は同年平成7年に防災基本計画を改正し、「高齢化社会等の社会構造の変化を踏まえるべき」という旨を記載しました。

しかし、残念ながら平成30年7月豪雨や令和元年東日本台風の災害においても、多くの高齢者が犠牲者になってしまいました。

また、発災後の避難所生活が長引くことで健康状態を崩してしまう高齢者も多くいました。

誰もが災害時に命を守れるように、身近なことから簡単に取り組められる防災を考えてみましょう。

個人の力による「自助」と地域におけるコミュニティの力による「共助」は、災害対策においてこれまで大きな貢献を果たしてきました。

阪神淡路大震災では、生き埋めや閉じ込められた人の救助の9割以上は、自力、または家族・友人・隣人によるものでした。

しかし、少子高齢化に伴い、地域によっては生産人口比率が著しく低下し、「自助」「共助」による地域の防災力の維持が危ぶまれています。

平成28年度の防災白書によると、地域の防災力を直接担っている消防団員は長らく減少し続けているとともに、高齢化も進んでおり、地域の防災に携わる人材確保が懸念されています。

一方、地域住民が自発的に立ち上げた自主防災組織については、組織数及び活動カバー率(全世帯数のうち、自主防災組織の活動範囲に含まれている地域の世帯数の割合)の増加から、地域防災力の向上への貢献が期待されています。

「今後さらに地域の防災力を向上していくために、どのような主体が担い手として貢献できる可能性があるか」という、平成28年度の防災白書における防災意識等調査の回答結果からは、半数以上の人が地域の団体やグループに期待していることが分かりました。

今後、地域の防災力の維持・向上のために、日常的に意思疎通を行っている身近な相手やグループの中で、取り組みやすい防災の取り組みを考えていく必要があると言えるでしょう。

次に、発災後の健康状態の点で懸念されている、避難所生活についてです。

阪神淡路大震災や東日本大震災において、発災後の衛生状態や栄養状態の低下から、高齢者の心筋梗塞や肺炎による死亡率が上がったというデータがあります。

また、車中泊によるエコノミークラス症候群(正式名:静脈血栓塞栓症)の危険性も問題となっています。

避難所の環境に関しては、食事の選択肢が狭いことや、プライバシーが確保されにくいこと、また、エアコンや入浴設備がない等、課題が多くあります。

このような、被災者の身体・精神両方へのダメージという課題の解決に資する取組として、6月2日から6月4日の期間、福島県耶麻郡猪苗代町にある道の駅「猪苗代」で、日本総合研究所が事務局を務めている医療・防災産業創生協議会主催の、高機能・高付加価値コンテナの実装デモが実施されました。

この実装デモでは、避難所生活のレベルアップに活用可能な可動式コンテナとして、太陽光パネルを備えたジャッキ付き多目的コンテナの展示や移動実演を行ったほか、避難所の食事の質向上に役立つ冷凍食品を災害食として備蓄可能にするクールコンテナ、高い居住性を可能とするトレーラーハウスを展示しました。

デモの様子については、下記URLよりご覧頂けますと幸いです。

また、医療・防災産業創生協議会の取り組みや、より詳しいコンテナの機能・活用について、気になった方は、どうぞ下記URLからホームページをご覧になってみてください。

避難所のQOL向上に資する機能を持つとともに、迅速・機動的に被災地支援に向かうことが可能な、高機能・高付加化価値コンテナを知っていただければと思います。

近年は、数十年に一度といわれる災害が頻発しております。

災害時の被害を想定し、地域の防災情報や、家庭備蓄、緊急連絡先の確認など、日頃から災害への備えを行うことは非常に大切です。

身近なことから少しずつでもはじめてみてください。

★下記URLから防災白書(平成28年度)を確認することができます。

平成28年版 防災白書

★下記URLから医療・防災産業創生協議会の活動概要を確認することができます。

医療・防災産業創生協議会ホームページ

猪苗代デモの様子