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ジェロントロジーに関する耳寄りな情報 第60回(ジェロ・マガ Vol.60[2023年7月18日]より一部抜粋)

このコーナーでは、ジェロントロジーに関連する、日々の生活や今後の生き方に役に立つ、あるいは「耳寄りな」情報をお届けいたします。

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今回は、「土用の丑の日」が近いので、 うなぎの蒲焼に関する情報をご紹介したいと思います。

うなぎと言えば「土用の丑の日」の印象が強いので、 何となく夏の食べ物というイメージが強いですが、 食材としての旬は秋から冬にかけてのようです。
ただ、農林水産省の広報誌によると、うなぎには、 ビタミンA、B1、B2、E、Dのほか、カルシウム、 鉄分、亜鉛、脂質(DHA、EPA)、コラーゲンなど、 夏バテ予防に必要な栄養素が豊富に含まれているそうで、 夏場に食べるのも道理に適っているようです。
出典:農林水産省「aff」(16年7月号) 

さて、うなぎの蒲焼ですが、家庭での存在感が急速に低下しています。
総務省公表の「消費者物価指数(CPI)」及び「家計調査」によって、 物価や消費金額の動向を整理すると、下図のとおりとなります。
※いずれもお惣菜等の「調理食品」として購入する場合のデータ。

グラフ

2000年の消費者物価指数(CPI)を100とすると、2022年は219であり、 この約20年間で価格が2倍以上になっています。
一方、1世帯当たりの年間消費金額は、2000年の4,776円から 2022年の2,581円と、大幅に減少しています。
物価変動を考慮に入れて実質化すると、2022年は1,181円となり、 消費量自体は25%程度に落ち込んでいると考えられます。
また、他のお惣菜等の「調理食品」と比較しても、 消費は落ち込んでいます。

下図は世帯主の年齢階級別に、「調理食品」の消費金額に占める うなぎの蒲焼の割合を整理したグラフです。

グラフ

高齢世帯ほど「うなぎの蒲焼」の割合が高いですが、それでも 2000年と2022年を比較すると、「60~69歳」世帯で10.2%→3.5%、 「70歳以上」世帯で10.2%→4.6%と、かなりの落ち込みをみせています。
このような変化の背景には、二ホンウナギの漁獲量減少もあるでしょうが、 それ以上に食生活の変化が影響していると思われます。
この約20年間で「調理食品」の消費金額は61,471円から83,121円へと 増加しており、所謂「中食」市場の規模が拡大しています。
その牽引役となっている品目は以下の3品目であり、 いずれもライフスタイルの変化を推察させます。

・冷凍調理食品(4,556円→10,106円)
・天ぷら・フライ(8,377円→12,465円)
・サラダ(2,653円→5,895円)

また、食材としての「魚介類」の消費金額は 110,868円から73,136円へと減少する一方、 「肉類」の消費金額は81,140円から96,655円へと 増加しており、「魚離れ」や「肉食化」の傾向は 21世紀に入っても継続しているようです。
うなぎの蒲焼の消費が減少しているのは、このような食習慣の変化が一因と考えられます。

さて最後に。「土用の丑の日」は、平賀源内発案の 名キャッチコピーとして有名ですが、驚いたことに、 実はその裏付けとなる文献資料はないそうです。 詳しく調べていないので断定はできませんが、 一種の「都市伝説」に近い言説の可能性が高いようです。

うなぎ