NEWS

ジェロントロジーに関する耳寄りな情報 第77回(ジェロ・マガ Vol.77[2024年3月26日]より一部抜粋)

このコーナーでは、ジェロントロジーに関連する、日々の生活や今後の生き方に役に立つ、あるいは「耳寄りな」情報をお届けいたします。

—-+—-+—-+—-+—-+—-+—-+—-+—-+—-+—-+—-+—-+—-+—-+—-+—-+—-+—-+—-+—-+—-+—-+—-+—-+—-+—-+—-+—-+—-+—-+—-+—-+—-+—-+—-

今回は、ジェロントロジー総合講座で「金融」の講座を担当して頂いた、山崎元さんについて書きたいと思います。

交流掲示板にも書きましたが、山崎さんは本年1月1日、食道がんのため65歳で残念ながらお亡くなりになりました。闘病されていたことは知っており、メディアに出られた際の写真がどんどん痩せられていたので心配していましたが、まさかこんなに早いとは、という思いでした。

講座を担当して頂くにあたり、私は飯田橋にあった山崎さんの事務所に何度か伺ったことがあり、お酒を飲みながら将棋(山崎さんは東大将棋部出身)を指したことはよい思い出です。

講座の内容は皆さんも見られたかと思いますが、そこで示されている資産運用に関する考え方、例えば0.5%ルール(年間の総支払い手数料が0.5%を超える金融商品は買わない)や保有資産構成の目安などは、資産運用をされている方にとっては今でも(そしておそらく今後も)有用な知見ではないかと思います。

この講座や多数の著書などで、山崎さんの教えは後世にも残りますが、その中でも今回は、山崎さんが最後に遺された本で、亡くなられた後の2月27日に発売された『経済評論家の父から息子への手紙』について、一部をご紹介したいと思います。

この本はタイトルの通り、山崎さんが大学に合格した際にご子息にあてて書かれた手紙(この本にも掲載されています)が基になっています。主に若者向けに、12回転職されたご自身の経験も踏まえ、将来の働き方・稼ぎ方や生き方へのアドバイスが書かれているのですが、そのメッセージは若者以外にも参考になると読んでいて感じました。例えば、山崎さんは新しい働き方として、効率性と自由を求める生き方を推奨していますが、その際に必要となるマインドセットとして

(1)常に適度な「リスクを取ること」
(2)他人と異なることを恐れずにむしろそのために「工夫をすること」

を挙げています。ただこれは、年齢がいくつになっても新しいことを始めようとする時などは(「適度なリスク」がどれぐらいになるのかは変わってくるでしょうが)、参考になるマインドセットではないでしょうか。また、本書の後半は山崎さんの幸福論が語られており、幸福の決定要素は実は1つだけである、と喝破しています。それは、「自分が承認されているという感覚(自己承認感)」である、と。この言葉を自らに引きつけて考えてみたとき、「承認されている」というと難しく感じますが、「他人に必要とされている感覚」と置き換えてみると、(唯一かどうかはともかく)確かに大きな幸福の決定要素であるなと感じました。
皆さんはいかがでしょうか?

最後に山崎さんは、ご子息に対する幸せになるためのメッセージとして、次の言葉で本書を締められています。

「モテる男になれ。友達を大切にせよ。上機嫌で暮らせ!」

最初のものは自分だけではいかんともしがたい部分もあるかと思いますが、残りの2つは意識をすればできることですので、私も心掛けていきたいと思います。ここでは主に本の冒頭と最後の部分を紹介しましたが、その他の部分は主に「金融」に関する山崎さんの考え方が示されており、参考になることが多いかと思います。もし機会がありましたら、『経済評論家の父から息子への手紙』を手に取られてみてはいかがでしょうか。

最後に。山崎さん、いろいろなことを教えて頂き、本当にありがとうございました。