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ジェロントロジーに関する耳寄りな情報 第84回(ジェロ・マガ Vol.84[2024年7月9日]より一部抜粋)

このコーナーでは、ジェロントロジーに関連する、日々の生活や今後の生き方に役に立つ、あるいは「耳寄りな」情報をお届けいたします。

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今回は日本における高齢者の働く環境に関する取組についてご紹介したいと思います。

内閣府が2020年12月~2021年1月にかけて実施した、「第9回高齢者の生活と意識に関する国際比較調査」によると、「収入の伴う仕事をしたい(続けたい)と思う」と回答した割合が、日本は男性が46.9%、女性が34.1%となっており、他の調査対象である、アメリカ(男性28.9%、女性30.6%)、ドイツ(男性34.3%、女性23.0%)、スウェーデン(男性31.7%、女性21.4%)と比較して就労意欲が高いことが分かります。

事実、労働力人口総数に占める65歳以上の割合は、昭和55(1980)年は4.9%、平成26(2014)年は10.5%、令和5(2023)年は13.4%となっており、長期的に上昇傾向です。

国においても高齢者の雇用を促進する動きが強くなっています。「65歳超雇用推進助成金」や、「特定求職者雇用開発助成金(特定就職困難者コース)」といった事業主に対する各種助成金制度があり、今後も高齢者の就労は一層進むと予想されています。

一方で、高年齢労働者の増加に伴い、労働災害による休業4日以上の死傷数のうち、60歳以上の労働者の占める割合は近年増加傾向にあります。60歳以上の労働災害発生率を30代と比較すると、男性は約2倍、女性は約4倍となっており、高齢者が安心して安全に職場環境の実現が求められています。

そこで令和2年厚生労働省により、「高年齢労働者の安全と健康確保のためのガイドライン(通称「エイジフレンドリーガイドライン」)」として高年齢労働者の安全と健康確保のために事業者及び労働者が取り組むべき事項が取りまとめられ、令和6年5月にはパンフレットも作成されました。具体的な職場改善ツールとして、「エイジアクション100」が中央労働災害防止協会により開発されており、ガイドラインの作成に合わせて改訂がなされました。

ガイドラインでは事業者に対して、「高年齢労働者の労働災害防止対策に積極的に取り組むよう努めるもの」としていますが、併せて労働者に対しても「事業者が実施する高齢者労働災害防止対策の取組に協力する」こと、また「自己の健康を守るための努力の重要性を理解し、自らの健康づくりに積極的に取り組むよう努めるもの」としています。

労働者に求められる事項は以下のように示されていますので、ご紹介します。

・高年齢労働者の自らの身体機能や健康上の客観的な把握と、青年、壮年期からの健康や体力の維持管理
・定期健康診断の受診
・事業者による体力チェック等の参加
・基礎的な体力の維持と生活習慣の改善
・事業所により実施される転倒予防体操等の参加
・適正体重の維持
・成年、壮年期からのヘルスリテラシーの向上

健康は最大の資産かと思います。ぜひガイドライン等をご参考にしていただければと思います。

<参考資料>

 *1内閣府「第9回高齢者の生活と意識に関する国際比較調査」
https://www8.cao.go.jp/kourei/ishiki/r02/zentai/pdf_index.html

*2内閣府「令和6年版高齢社会白書」
https://www8.cao.go.jp/kourei/whitepaper/w-2024/zenbun/06pdf_index.html

*3厚生労働省「令和5年高年齢労働者の労働災害発生状況」
https://www.mhlw.go.jp/content/11302000/001099505.pdf

*4厚生労働省「高年齢労働者の安全衛生対策について」
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/roudoukijun/anzen/newpage_00007.html

パンフレット「高年齢労働者の安全と健康確保のためのガイドライン」
https://www.mhlw.go.jp/content/11300000/000815416.pdf

*5中央労働災害防止協会「人生100年時代の職場の安全と健康~エイジフレンドリー職場を目指して~」
https://www.jisha.or.jp/age-friendly/ageaction100.html

「エイジアクション100(改訂版)」
https://www.jisha.or.jp/research/pdf/202103_01.pdf