ジェロントロジーに関する耳寄りな情報 第102回(ジェロ・マガ Vol.102[2025年3月25日]より一部抜粋)
このコーナーでは、ジェロントロジーに関連する、日々の生活や今後の生き方に役に立つ、あるいは「耳寄りな」情報をお届けいたします。
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今回は、事務局加藤が日本総合研究所で関わってきた調査研究業務や調査研究業務のその先についてのお話をお届けいたします。
昨年度は、令和5年度老人保健事業推進費等補助金 老人保健健康増進等事業「高齢者施設における非常災害時における地域ネットワーク構築の促進及び訓練の実効性の確保に関する研究事業」を実施しました。
近年発生している災害では、高齢者施設が直接被害を受けるケースに加え、福祉避難所として高齢者施設を指定することで、近隣の地域住民が大勢避難してくる場合も想定されています。これらの状況に対応するため、高齢者施設・事業所が所在する地域において、緊急避難場所の確保や人的・物的支援を確保することを目的にネットワークを構築することが有効な解決策と考えられています。
この事業では、
①高齢者施設等を対象としたアンケート調査、
②他の地域の参考となる取組を行っている地域へのヒアリング調査、
③モデル地域で実施した「地域ネットワーク構築支援に向けたワークショップ」
の3点を実施しました。
https://www.jri.or.jp/2023_saigai/
我々は、調査研究業務を通じて、国等への政策提言を行っています。今年度も昨年度の業務の発展として、「業務継続計画(BCP)及び非常災害対策計画における他施策も含めた地域連携」に関する調査研究事業を実施し、高齢者施設の避難に関する調査を継続しています。それでは、こういった政策提言を経て、皆さまの生活にどう影響していくのか、簡単ですが流れの一例を説明させていただきます。
先ず、調査研究機関が調査研究結果を基に国に政策提言を行います。次に、国は関連する法律の改正の検討を行い、法改正が実施されると国が作成するガイドラインや手引き・マニュアル類が修正されます。それらのガイドライン等を参考に、市区町村などの行政機関が施策を実施することで、皆さまの生活に影響していきます。
我々の調査研究・政策提言関連ではありませんが、例えば、災害対策基本法が令和3年に改正されたことを受け、内閣府が作成する「避難情報に関するガイドライン」が修正されました。これを受け、行政が発出する災害情報から避難勧告が廃止され、避難指示で必ず避難することとなりました。
現在、我々が行っている高齢者施設の避難に向けた地域連携に関する調査研究を基に法改正が行われ、高齢者施設の地域連携の在り方が世の中に広まることが来るかもしれません。
