NEWS

ジェロントロジーに関する耳寄りな情報 第120回(ジェロ・マガ Vol.120[2025年12月9日]より一部抜粋)

このコーナーでは、ジェロントロジーに関連する、日々の生活や今後の生き方に役に立つ、あるいは「耳寄りな」情報をお届けいたします。

—-+—-+—-+—-+—-+—-+—-+—-+—-+—-+—-+—-+—-+—-+—-+—-+—-+—-+—-+—-+—-+—-+—-+—-+—-+—-+—-+—-+—-+—-+—-+—-+—-+—-+—-+—-

今回は、高齢期における大学での学びのチャンスや意義、そのコツをお伝えできればと思います。

■高齢期における大学での学び

当メルマガ読者の皆さまであれば、高齢になっても学び続けることの重要性についてはよくよくご存じのことであり、そのこと自体はすでに耳にタコ、釈迦に説法かと存じます。では、高齢期の学びの機会といえば、どのようなものをイメージされるでしょうか?高齢者大学、シルバー大学と呼ばれるような講座や、カルチャーセンターなどでの市民講座、そして放送大学などがすぐにイメージされるでしょうか?特に高齢者大学、シルバー大学などは名前の通り高齢者向けに開講されており、受講者層、内容ともに親しみやすいものが多いでしょう。

他の比較的手ごろな手段としては、聴講生として大学の講義を受講するという形があるかと思います。ただ、すべての大学、すべての講義について聴講が可能なわけではなく、近年は聴講制度が廃止になってしまった大学も見られるようです…そこで、個人的に皆様にお勧めしたいのは、更に一歩踏み込んだ学び方です。聴講生のような特定講義の受講のみに限らず、正式に大学生、ないしは大学院生になってみるのはいかがでしょうか?

今更受験はちょっと…と、お感じになる方もいらっしゃるかと思いますが、大学によってはシニア向けの入試制度が設けられているケースもあります。その場合はいわゆる五科目の学科試験ではなく、小論文や面接などによる選抜が行われており、何を学びたいのか、なぜ学びたいのかといった、目的意識や意欲が問われる形のため、学びたい内容が明確な方であれば、思ったほどハードルは高くないかもしれませんよ。また、以前に大学を卒業されている方であれば、大学院への進学も面白いのではないかと思います。

学問や研究への意欲が高く、若い仲間との研究活動は非常に刺激的であり、皆様の知的好奇心を満たす、十分な質と量を提供できるかと思います。以前学んだことを深めたい方、これまでのキャリア経験や知識を学問の世界で生かしてみたい方などには特にお勧めしたいと思います。

■高齢期の学びのコツ:

では、実際に大学や大学院で皆様が学ばれることになった場合に、心がけていただければと思うコツを少しお伝えしたいと思います。それは、ご自身よりもずっと若い人の教えに素直に耳を傾けることです。これは高齢の方に限らないコツだと思いますが、特に大学という場においては、重要なことだと思います。どうしても大学には若者が多く、また大学院生ともなれば高い専門性を有している人が多くなります。学問を深めていくほど、専門性は尖っていき、少し専門分野が違うだけでわからないことだらけになりますので、知らないこと、わからないことは年齢や経験に関係なく、その道の専門家に素直に聞いてみることが学びを深めるうえではとても重要です。実際、私が大学院生の時にすぐ近くの交流がある研究室には、定年直後の大学院生が在籍されていました。お仕事をされながらずっと興味があった勉強がついにできると嬉しそうに、ご自身のお子さんよりも年下の大学院生と一緒に勉強会を開くなどされており、教授陣からも「あの人はきっといい研究をする」と太鼓判を押されていました。少し勇気がいるかもしれませんが、せっかく大学に行くなら、ぜひ若者からの学びも得てみては?と思っております。読者の皆様の中から1人でも次の春に、大学の門をくぐられる方がいれば、嬉しいなーと、いち大学関係者として思っております。