ジェロントロジーに関する耳寄りな情報 第124回(ジェロ・マガ Vol.124[2026年2月24日]より一部抜粋)
このコーナーでは、ジェロントロジーに関連する、日々の生活や今後の生き方に役に立つ、あるいは「耳寄りな」情報をお届けいたします。
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今回は、ご自宅でも楽しめる「花や植物の観賞」についてご紹介したいと思います。
「花の観賞」と聞いて、どのようなイメージをされるでしょうか?梅や桜のお花見、公園や庭園に咲き揃う花々、生け花、あるいは野山や堤防沿いに咲く野花を屈んでみるひととき__。
想像するだけで、心が少し弾む気がします。例えば、関西大学の宮本勝浩名誉教授によると、2025年のお花見による経済効果が1兆3,878億円以上になると推計されています。花見の目的が単なる観賞ではないにせよ、花を愛でるために多くの人が動き、楽しんでいることは確かだろうと思います。「植物の観賞」も同じように様々なイメージが浮かび上がります。都市部には公園や植物園がたくさん整備されており、日本庭園では庭木や盆栽が手入れされ、喫茶店に入れば観葉植物が迎えてくれます。くつろぎを求める場所には自然の要素が取り入れられていることが多く、自然の存在に少し心が落ち着く気がします。
では、花や植物を「観る」ことには、どのような効果があるのでしょうか。花や観葉植物・盆栽などの植物を見ることで、交感神経の働きが低下し、ストレスが減少する一方、副交感神経の動きが上昇し、リラックス効果が生まれ、ストレス状態が緩和されることが報告されています(※1)。
※1 サカタのタネ 園芸通信
https://sakata-tsushin.com/yomimono/essay_miyazaki/detail_211/
https://sakata-tsushin.com/yomimono/essay_miyazaki/detail_267/
また実物の生花だけではなく、国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構の研究(※2)によると、花の画像を見ることでストレスホルモンであるコルチゾールが低下し、ネガティブな記憶の想起や情動を抑制するなどの効果が確認されています。
※2 国立研究開発法人 農業・食品産業技術総合研究機構
しかし、リラックスできる花や植物が周りに多ければ多いほど良い、というわけでもないようです。2025年に発表された室内空間における植物の適量についての研究では、空間に約20%程度の自然要素がある状態が一番良い、とする結果(※3、4)が発表されています。例えば13㎡のオフィス空間の場合では、「観葉植物17鉢が置いてあり、窓からは木々が見える」程度が適当であると研究者は指摘しています。反対に緑や木材が60%を占める空間では、かえってストレスが増大する可能性も指摘されています。
※3 NEWSWEEK JAPAN
※4 Bianchi, E., & Billington, S. L. (2025). How much nature do we need?
An exploration of dose-response relationships between indoor nature dose and building occupant well-being. Sustainable Cities and Society, 134.
つまり、自宅やオフィス内では、自然を適度に取り入れることが大切なのかもしれません。季節や生活環境によっては、普段あまり自然を感じることができないかもしれません。それでもほんの少し、花や植物など、自然を感じられるものを室内に取り入れたり、外に出て季節の移ろいを感じたりすることで、心身の健康が支えられるのではないでしょうか。
