弊所会長の寺島が徳島県美馬市で講演「なぜ『知の再武装』が必要なのか ~時代の転換期を生き抜く~」を行いました
2022年7月30日(土)に、弊所会長の寺島が徳島県美馬市において、「なぜ『知の再武装』が必要なのか ~時代の転換期を生き抜く~」と題した講演会を行いました。
本年度弊所では美馬市から業務委託を受け、市民の方々に「ジェロントロジー総合講座」を見て頂く機会を提供したり、各種ワークショップを実施する予定となっています。
その第一弾が今回の寺島講演で、その内容は最新の国内・海外情勢に関する発言を含めて多岐に渡りましたが、以下では主に「ジェロントロジー」に関連する寺島の発言のポイントをご紹介します。
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人生100年時代において、自分がどういう時代を生きているのかを、知見と問題意識を持って的確に認識しようとすることが重要であり、それがジェロントロジーの「イロハのイ」である。
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世界のGDPに占める日本のシェアは、1994年のピーク17.9%から2021年では5.1%まで低下している。日本はもはやアジアトップの経済国家ではないということを認識する必要がある。
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日本の貿易相手国は、アメリカよりも中国を中心とした大中華圏の比重が大きくなってきており、今後さらに拡大する。このようなアジアダイナミズムをどれだけ引き付けて成長・発展に繋げられるかが、日本や四国地域にとっての課題である。
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新聞、本、雑誌が読まれない時代になってきている。特に若者はSNS(ソーシャルネットワーキングサービス)で情報を入手する傾向にあるが、SNSから入手できる情報は限定的で、偏ったものになる危険性がある。
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そこで「人生100年時代」で重要なのは「全体知」である。全体知を身につけるためには、体系的な情報を自ら得ようとする努力が必要だ。 TOKYO MXで放映中の「寺島実郎の世界を知る力」の全体テーマは「全体知への接近」であり、興味のあるテーマからぜひアクセスして、真剣に見てもらえたらと思う。
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高齢化社会を生きていくためには、腹を括って学び直さないといけない。 なぜなら我々が学生時代に大学で学んだような知識が現在では通用 しなくなってきているからで、努力して知のアップデートをしていかなければならない。
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生命科学の進化により、ヒトとチンパンジーのDNAの差はほとんどないことが分かったが、ヒトには「共感力」がある。 また、AI(人工知能)が人間の能力を超えると言われ、目的を達成する手段を合理的に選んだり、認識する力では人間はAIに負けるが、愛情や友情も含めた「意識」があるというのが人間のすごさである。 人間が人間たる価値を理解し、どのような社会を作るのがよいのかを見出していく必要がある。
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21世紀の日本産業の進路を考えた時に、イノベーションも重要だが、日本総研では食と農や医療・防災といった「ファンダメンタルズ」の強化に全力で取り組んでいる。 美馬市は水とエネルギーと食料という面でポテンシャルがあると思うので、それを活かしていくべきではないか。
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これまでの日本の産業構造は国民の豊かさを追求するものであったが、これからは「安全・安心」のための産業構造を作らなければならない局面に来ている。 そのために日本総研では、医療・防災産業を産業の中軸に据えようという取組(例えば道の駅の防災拠点化など)を現在行っている。その点でも美馬市とも連携しながら、世の中を一歩前に進めるプロジェクトを実装していきたい。
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