ジェロントロジーに関する耳寄りな情報 第1回(ジェロ・マガ創刊号[2021年3月10日]より一部抜粋)

このコーナーでは、ジェロントロジーに関連する、日々の生活や今後の生き方に役に立つ、あるいは「耳寄りな」情報をお届けいたします。
第1回目の今回は金融、特にジェロントロジー総合講座での課題にもありました、認知症になった時の銀行取引に関わる情報です。

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2021年2月18日、全国銀行協会(全銀協)が高齢者(特に認知判断能力が低下した方)の銀行預金の引き出しに関する指針をまとめました。

金融取引の代理等に関する考え方および銀行と地方公共団体・社会福祉関係機関等との連携強化に関する考え方について

この指針では、医療費等の支払いなど、預金者本人の利益に適することが明らかな場合に限り、親族等でも預金を引き出すことができる、
という方針が示されています。

これまでの銀行の考え方は、預金は基本的には本人の資産であり、預金を引き出す際には預金者本人の意思確認が必要となるため、
家族といえども代わりに引き出すことはできない、というものでした。
また、銀行が認知判断能力の低下した顧客との取引をする場合は、成年後見人や任意後見人を介した代理取引を行うよう促すことが一般的でした。

しかし、認知症患者数が約462万人なのに対して成年後見制度の利用者は約22万人しかいないのが現状です。
また、家族からは医療費支払い等に使えるよう、銀行に柔軟な対応を求める声が挙がっていました。

ですので、今回の指針は現状や要望に一定の対応をした形です。
これまで銀行界は顧客の財産保護を優先しましたので、これは大きな方針転換であると考えられます。
今後、この方針が実務にもしっかり浸透していくかどうか、注目していきたいと思います。