NEWS

ジェロントロジーに関する耳寄りな情報 第105回(ジェロ・マガ Vol.105[2025年5月13日]より一部抜粋)

このコーナーでは、ジェロントロジーに関連する、日々の生活や今後の生き方に役に立つ、あるいは「耳寄りな」情報をお届けいたします。

—-+—-+—-+—-+—-+—-+—-+—-+—-+—-+—-+—-+—-+—-+—-+—-+—-+—-+—-+—-+—-+—-+—-+—-+—-+—-+—-+—-+—-+—-+—-+—-+—-+—-+—-+—-

皆様、GWはどのように過ごされましたでしょうか。今年はカレンダー通りですと、4連休をはさんで平日が3日あるという日程で、なかなか切り替えが難しかったですが、比較的天気に恵まれ、素敵な休日を楽しまれたかと思います。

さて、冒頭GWの話題を出しましたが、GW始まりの週末に祖父の実家である田舎のお墓参りをしてきました。隣の県ではありますが、1年に1回行けるかどうかという状況であり、少し荒れてしまっており、「墓じまい」のワードが頭に浮かびました。今回はこれを話題にしようと思います。

供養の方法を見直し、墓石を撤去する「墓じまい」(改葬)は、2023年度で全国16万6,886件(前年度比1万5,810件)に上り、2014年から約10年で約2倍となり、過去最多となっています。また、管理する人がいなくなった「無縁墓」を行政が撤去したケースは全国で3,651件となり、こちらも増加傾向にあります。

厚生労働省「衛生行政報告例」より

少子高齢化や核家族化に加え、新型コロナウイルスの影響でお墓参りがしにくい時期があったことや、樹木葬や散骨など改葬後の選択肢が増えたことが背景にあるといわれています。

また、お墓の情報サイトを運営する民間企業(株式会社鎌倉新書)が実施した「改葬・墓じまいに関する実態調査(2024年)」では、以下のようにまとめられています。

●検討理由で最も多いのは「お墓が遠方にあること」、次いで「継承者がいないこと」。
●実施費用31万円~70万円」が最多、しかし価格帯は幅広い。
●遺骨の引っ越し(改葬)先は継承者不要の「合祀墓・合葬墓」「樹木葬」「納骨堂」が人気(合計71.5%)。
●改葬・墓じまいをする中で大変だったことの第1位は「遺骨の引越し先(改葬先)選び」、第2位は「役所手続き」、第3位は「解体業者選び」。
●「墓じまいをやめた理由」の第1位は「解体費用が高すぎた」2位同率で「親戚から理解を得られなかった」「手続きがめんどうだった」。
調査結果

費用はお墓の広さに比例しますが、上記の調査では、最多「31万円~70万円」が24.2%ですが、「71~110万円」が19.5%、「111~150万円」が15.6%と、100万円くらいかかるケースも少なくありませんでした。

負担軽減に役立つ制度として、自治体の助成制度をいくつか見つけたので、列記します。

●群馬県太田市八王子山公園墓地墓石撤去費用助成金【上限金額20万円】:八王子山公園墓地の無縁墓地対策として、墓地返還に際し墓石撤去に伴う費用を助成する制度。

●千葉県浦安市墓所返還者等支援事業【上限金額20万円】:返還する墓所の墓石の撤去など、返還区画の原状回復に要した費用について、返還後に市から補助金を交付。

●岐阜県関市地域墓地整備補助金【上限金額100万円】:地域墓地を整備する市内の地区、自治会等に対し、整備に係る費用の一部を補助。

「墓じまいをやめた理由」の第1位は費用面でしたが、「親戚から理解を得られなかった」という理由は、メンタル的に非常に難しい超えられない壁のように感じました。継承者がいない無縁墓も増えてきています。お墓は個人を偲ぶ場でありますが、遺骨の収蔵場所は多様化してきており、血縁を超えた人たちでお墓を共有していく考え方も、お墓の無縁化防止に有効ではないでしょうか。

「終活」の一つの項目である「お墓」について、役立つ情報になれば幸いです。