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ジェロントロジーに関する耳寄りな情報 第140回(ジェロ・マガ Vol.140[2026年10月13日]より一部抜粋)

このコーナーでは、ジェロントロジーに関連する、日々の生活や今後の生き方に役に立つ、あるいは「耳寄りな」情報をお届けいたします。

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今回は、スポーツと地域資源を掛け合わせて地域活性化を進めている組織「スポーツコミッション」についてご紹介します。「スポーツコミッション」とは、あまりなじみのない言葉ではないでしょうか。スポーツコミッションとは、行政、民間企業、スポーツチーム、スポーツ協会、観光協会、商工団体、大学などの様々な地域の団体が一緒になって、スポーツを通じて地域を活性化することを目的にしている組織のことです。スポーツ庁でも、スポーツツーリズムなど、スポーツによる地域振興に取り組む組織である「スポーツコミッション」の活動を推進しています。※1
※1 スポーツ庁「地域スポーツコミッションポータル」

組織の役割は、大きく2つに分けられます。一つは「インナー事業」と呼ばれる、地域住民を対象とした活動。もう一つは「アウター事業」と呼ばれる、交流人口拡大を目的とした活動です。そのうちアウター事業では、スポーツ観戦や、スポーツ大会・イベントへの参加を目的とした旅行など、「スポーツで人を動かす仕組みづくり」である「スポーツツーリズム」への取り組みが促進されています。スポーツツーリズムでは、飲食宿泊や周辺観光への経済効果、交流の拡大、旅行者へのスポーツ施設・プログラムや周辺環境整備などによるまちづくり、スポーツイベント招致による地域発信などの効果が期待されています。※2
※2 一般社団法人日本スポーツツーリズム推進機構

近年では、地域活性化や地域課題の改善などを目的として、全国各地でスポーツコミッションが設立され、現在では200以上の団体が各地域で活動しています。その中でも一風変わった取り組みを行う2団体をご紹介したいと思います。

1. 金沢文化スポーツコミッション

金沢文化スポーツコミッションでは、金沢の代表的な文化芸術という地域資源を活用し、スポーツイベントの中に金沢の魅力や金沢らしさを演出することで、「金沢のファンを増やしていく」というコンセプトで活動されています。例えば、2018年に開催した全日本弓道遠的選手権大会では、「禅」の研究で有名な鈴木大拙が金沢市出身だったこともあり、会場でお茶のおもてなしを実施しました。茶道の作法に弓道に由来するものがあることなどに着目し、弓道と茶道、禅、加賀藩とのつながりを紹介するパネルを展示する等金沢らしい武道ツーリズムを企画されました。※3
※3 スポーツ庁「スポーツツーリズム 取組者・関係者インタビュー」

金沢文化スポーツコミッションはその他の様々な大会でも、会場での金箔塗体験や金沢発祥とされる水引作成、和太鼓や市内の学生による吹奏楽部の演奏による盛り上げなど、各会場で記憶に残る大会づくりをサポートされています。このような伴走支援の他、独自の補助メニューも充実しています。その結果、スポーツ大会時における宿泊延べ人数がコロナ禍前の2019年は約9,000人でしたが、2025年は約13,000人に増加しています。学生合宿で金沢市に訪れた宿泊延べ人数も、2019年の約4,000人に対し、2025年には8,000人を超えています。※4
※4 金沢文化スポーツコミッション「金沢文化スポーツコミッション推進委員会2025年度(令和7年度)活動報告」

2. 一般社団法人ウェルネスポーツ鴨川

千葉県鴨川市を拠点に活動している一般社団法人ウェルネスポーツ鴨川では、「草刈りはスポーツだ!」を合言葉に、「草刈りサミット」という一風変わったスポーツイベントを企画されています。一般的に重労働とされる草刈りですが、そこにスポーツがもつ「競技性」や「楽しさ」の要素を追加した大会を企画しています。耕作放棄地に行って、速さではなく、仕上がりの美しさを競うそうです。また大学とも連携し、草刈りによる体幹運動効果が体幹エクササイズと同等以上の効果があるとの研究結果も公表されています。地域の里山保全の課題から、草刈りをスポーツ大会として企画し、地域への貢献や健康づくりにもつながる取り組みです。その他にも、田んぼの泥の中でサッカーをする企画や、「ロゲイニング」という地図や写真を手掛かりに、特定の地域に設定されたポイントを探して得点を競い合う競技を行い、そのプログラムの中で参加者に鴨川市を知るきっかけをつくり、交流人口の増加が期待される取り組みも行っています。※5
※5 一般社団法人鴨川ウェルネスポーツ鴨川「お知らせ」

これらの2団体以外にも、地域資源を活かしたり、地域課題を解決するために独自の活動に取り組まれるスポーツコミッションもたくさんあります。今回ご紹介したのはスポーツのきっかけづくりとして、どちらかというとアウター事業(交流人口拡大)をご紹介しましたが、スポーツコミッションではインナー事業(住民向けの活動)も実施しています。これまでのジェロ・マガでは、スポーツによる健康効果などをご紹介してきましたが、普段、運動習慣があまりない方だと、よいことだとはわかっていてもなかなか気が乗らないこともあるかと思います。しかし、草刈りサミットのような面白い企画や、参加したスポーツイベントで思い出に残る体験ができれば、スポーツを始めるきっかけになるかもしれません。そして、「楽しかった」「また参加したい」という気持ちが、スポーツを続けていくモチベーションにもつながるのではないでしょうか。また、草刈りのように、一見すると重労働に思える作業でも、視点を変えて「楽しむ」という要素を加えることで、これまでとは違った価値や効果が生まれることがあります。楽しむことから始まった活動が、日々の生活にスポーツを取り入れるきっかけとなり、将来的な健康づくりや地域との関係づくりにもつながっていくのではないでしょうか。